つぶやきば@はてなブログ(跡地)

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サムライとは何か


サムライは、第一義的に組織の歯車である。奴隷と言っても良い。主君あるいはお家のためであるのなら、自らの一命を捨てることも厭わない。しかも、その死を美化する。美化。ここが大切なところだ。犬死に美化装置としての武士道。要するに、奇妙な形で美化された奴隷根性がサムライの美学の本質であり、そうした倒錯した自己愛みたいなものが彼らの集団主義に逆説的な誇りをもたらしていたりもする、と、そういう構造になっているわけだ。
(中略)
武士が生命よりも大切なものとして掲げたのは、「正義」でも「個人の尊厳」でもなく、「お家の体面」と、「おのれの職分」というなんとも、矮小な没個性主義であった。そして、武士道は、忠臣蔵の四十七士が、取り戻しようのないお家の名誉に殉じて腹を切ったことや、白虎隊の少年たちが百パーセント勝ち目の無い闘いに挑んで集団自決をしたことを、大義への殉死として美化する際の理論的装置として機能し、かかる集団的愚行を理想として掲げる後ろ向きで恨みっぽい犬死にの美学として結実せざるを得なかった、と。悲しいではありませんか。
とすれば、松岡大臣の死に方は、犬死にという意味においても、没個性的であるという意味においても、武士らしかったわけです。
生き方も。

一連の自殺によって一番得をするのは誰なんでしょうかね。