つぶやきば@はてなブログ(跡地)

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「硫黄島からの手紙」

昨日予告したから、というわけではありませんが見てきました。封切られた映画を1ヶ月以内で見に行くなんていつ以来のことでしょうか。
さて軽く感想でも。栗林中将を初めとする硫黄島で戦った軍人達の姿を美化するわけでもなく、「愚かな軍部の命令に従った可哀相な人達」といった感じの悲劇に仕立てるわけでもなく、だからと言って淡々と事実を追った映画というわけでもありません。日本で「戦争」を扱う映画には翼の左右を問わずイデオロギー的な「臭い」が鼻に付く作品が多いわけですが、私はこの作品からそういった異臭を感じることはなく、「バランス感覚」が非常に優れている印象を受けました。戦闘シーンに関しては爽快感ゼロ、にも関わらず圧倒されっ放しでした。
映画見終わって考えたことは、戦争を題材にした映画で「戦争は悲惨です、二度と繰り返してはいけません」といった類いのメッセージを作中で登場人物などに語らせることは無粋の極み、センスのカケラも感じない演出であるということです。はっきり言えばそんなことは前提です。それを踏まえた上で何をどのように表現するかが問われるのではないかと思います。勝谷誠彦が「沖縄戦を題材にして、このクオリティに並ぶものを日本人の手で作るべきだ」と語っていましたが、今の日本映画界にそういった映画を撮る環境が整っているのかどうか非常に疑問です。